■EPISODE 2 〜ルビー地方にて〜

会話をし続けてながらも、いつの間にか目的地であるルビー地方に住む
ディアスの父親「アリューゼ」がいる村へと着いたレナとディアス

ここはルビー地方、エメラルド地方から少し離れている場所に存在する訳であるが
歩きで着いてしまう位の距離なので、決してそんなに遠い場所ではない

レナとディアスは、そのアリューゼが住んでいるという村「ブレイズ」へ訪れた


ディアス「ここの村に、俺の親父がいるんだが、ここの村って昔からあまり変わってないな・・・」
レナ「そうなんですか・・・?」
ディアス「実は俺とラナも、ここでも暮らしていたんだ」
レナ「なるほど」
ディアス「暮らしている内に、エメラルド地方に引っ越したいなと思ってね」
レナ「それで引っ越したと・・・?」
ディアス「ああ、最初親父はここに住んでいなかった訳だが
      俺とラナがエメラルド地方にあるラヴェストへ引っ越す際に
      空き家となるはずだった家を親父が代わりに住むという事になってな
      そういう意味で、親父がここにいるっていう事さ」
レナ「そうだったんですか・・・?」
ディアス「決して、親娘喧嘩して引っ越したという訳ではないぞ・・・」
レナ「は、はい・・・」


レナはディアスに案内されるまま、ある家の中へと入った
そこにある男性がいた
そう、その人物こそ、ディアスの実の父「アリューゼ・ハードヒート」だった

彼は、シューターと呼ばれるバトルスタイル(戦闘態勢)でありながらも
ブレイダーや他のバトルスタイルの経験もしているという
実にオールラウンダーな人物でもあった

もちろん、レナのバトルスタイルでもある、今では珍しい「ハルバーター」の知識も持っていた


アリューゼ「おお、ディアスか、待っていたぞ」
ディアス「親父、早速連れてきたぞ」
アリューゼ「ん、連れてきたって・・・・ラナではないか!?
       まさかこの俺をからかっているんじゃないだろうな!?」
ディアス「違うよ、この子こそレナ・グレイシアだよ」
アリューゼ「どこからどう見ても、ラナにしか見えないのだが・・・」



ディアスは失敗したな、と思った
そう、ラナも連れてくれば良かった、という事である



アリューゼ「では、ラナではないと言う証拠をみせてもらおうかな?」
ディアス「おいおい・・・愛する娘にそういう事をいいやがって・・・」
アリューゼ「何が愛する娘だよ・・・」
レナ「・・・」


ディアスは、レナに鉛筆と紙を差し出した


ディアス「なあ、何でもいいから、ここで絵を描いて見てくれ」
レナ「え・・・?どうしてですか?」
ディアス「いいから、早く!」
レナ「は、はい・・・」


レナは、突然ディアスに絵を描けと言われるまま
何かの絵を描く事になってしまった
こんなんで、自分がラナじゃないというのを証明できるのだろうか?と
レナは疑問に思いつつも、1枚の絵を10分程度で絵を描き上げ
ディアスとアリューゼにその絵を見せた

その絵は、ショートヘアーでカチューシャをした
とても可愛らしい少女の絵だった



アリューゼ「・・・・・・」
ディアス「なあ、これでわかっただろ?」
アリューゼ「確かに、ラナはこんな早く絵を描く事はできない上
       ラナは確か左利きだったのを右利きで描いていたな・・・」



そう、ラナの利き腕は左利きだったのに対してレナは右利きだったのを
ディアスはそれを知っていたのであった

また、絵が得意だと言うのも知り
それをアリューゼに見せれば
この女の子がラナじゃないと、信じるだろうと思ったのであった



アリューゼ「すまなかったな・・・」
ディアス「やれやれ・・・さすが俺の親父、期待を裏切らないな」
アリューゼ「そういう変な所を期待せんでいいッ!」

ディアス「それはともかく、なんで俺の絵なんだ・・・?」
レナ「だって・・・ディアスさんが何でもいいからと言うから・・・」
ディアス「・・・・・・」



ディアスは、持ち込んできた色々な書類をアリューゼに渡した


アリューゼ「これまた沢山もってきたな」
ディアス「ああ、意外と結構多いんだよな」
アリューゼ「ふむ・・・」
ディアス「そうそう、レナ」
レナ「はい・・・?」
ディアス「ここに、契約の証としてサインを書いてくれ」
レナ「はい」


と、言われて早速サインを書いた
そう、サインを書くことで、本人が同意したという事を証明するのに必要であるからだ



ディアス「もちろん、レナをここへ連れてきたのはこれだけじゃないぜ」
レナ「は、はい・・・」
ディアス「この村に、これらの書類を提出する場所があるが
      その所に、申請を受ける本人も必要なんだ」
レナ「はい」
ディアス「んじゃ、そこへ行こうか」
レナ「はい」



レナとディアスは、アリューゼがいる家を後にし
申請場所へと向かい、書類を提出するのと同時に
レナは、必要な手続きを数え切れない位に済ました


レナ「はあはあ・・・もう疲れたよ・・・・」
ディアス「俺も疲れた・・・」
レナ「わたし、字を書くの、嫌いです・・・」
ディアス「そうなのか・・・?、ラナの奴は字を書くの好きなんだかな」
レナ「はぁ・・・」



さすが双子だな、と思ったディアスであった


レナ「あ、あの、ディアスさん」
ディアス「ん?」
レナ「どうしてラナは、昔の苗字を残してあるのですか?」
ディアス「ああ、それはな、親父がラナの本当の両親に出会った時に
      すぐにハードヒートからグレイシアへと簡単に移動できるようにする為らしいぜ」
レナ「は、はあ・・・」
ディアス「まあ、その頃のラナは赤ん坊、本人の意思で残すか残さないかは選択できないしな」
レナ「それは確かに・・・」
ディアス「レナは、ラナと同じように、昔の苗字を残すのか?」
レナ「うーん・・・」



レナは酷く悩んだ
レナには、過去に痛い程苦い思い出が詰まっている
確かにレナの実の父親であったガッシュ・グレイシアの愛情で育てられてきた訳であるが
サフェイス事件にて、ガッシュの裏の事が明確に知ってしまってから
とても複雑な気持ちであった

ガッシュは、表では優しい父親のイメージであるが
裏では、とても野心家というブラックイメージがあって
レナはそれで複雑な気持ちを持っている

また、レナは王女の身柄を捨ててまで大好きなラナと一緒に暮らしたいという選択肢を
選んだ訳でもあった

暫くレナは、考え込み、ディアスにこういった


レナ「わたし、昔の苗字を捨てます」
ディアス「そうか・・・」



レナは決心した
グレイシアとは全くの縁を切り
ハードヒートと言う新たな縁で繋ぐと言う事を受け入れたのであった

ラナは、ずっと「ラナ・G・ハードヒート」と言う二つの苗字を持ったまま
15年間やってきたが、「レナ・G・ハードヒート」にしないと
赤の他人扱いになる、という訳ではない事をレナは知っていた



手続きは完了した頃には、既に夕方になっていた
申請手続きが完了したからといって、すぐにハードヒート四女になる訳ではなかった


そう、申請して暫くは時間をおかないとならないのである
ディアスが3ヶ月位かかるぞ、と言ったのはその為であった


ディアス「やっと終わったが、こんな時間にラヴェストへ戻るとなると
      とても危険だな・・・」
レナ「そうですよね」
ディアス「しょうがない、今日は親父の家で泊り込もう」
レナ「いいのですか?」
ディアス「ああ、大丈夫さ」


再びアリューゼの家へ・・・



その夜



ディアス「ラナとシェパードに連絡し終えた事だし、今日はもう寝るとするか」
アリューゼ「お前は相変わらずだな」
ディアス「うるせえなぁ・・・」
アリューゼ「そんな言い方じゃ、誰もお嫁さんとして引き取ってくれないぞ」
ディアス「俺は結婚なんかする気なんてないぜ・・・」
アリューゼ「・・・・・・」


そう言ってディアスは、二階へ行ってしまった

アリューゼ「君ももう寝るといい」
レナ「はい」


レナも二階へ行き、ディアスとは別の部屋へ入った
その部屋は、かつてラナが使っていたという部屋と言う事だった


部屋に入ったレナ、そこには机の上に誰かの日記が置いてあった
恐らくラナが書いていた日記だろうとレナは思った



レナ「ラナって、日記を書いていたんだ・・・?
   ちょっと見てみようっと・・・」


レナは、悪いなぁと思いつつもラナの日記を見た



レナ「なになに、今日はお姉ちゃんと一緒にお買い物へ行った
   お姉ちゃんったら、買い物へ行くとあれだこれだと言って
   いっぱい買うから、ちょっと困っちゃうなぁ・・・」


ディアスの意外な一面が書いてあった
さらに読み続けてみると


レナ「お洋服屋さんへ入り、お姉ちゃんは色々お洋服を見ていた
   わたしはあまり興味がなかったから、外で待ってたかな?
   暫くするとやっとお姉ちゃんが店から出てきた
   お姉ちゃん、遅すぎるよ・・・」



どうやらディアスは、洋服にも興味があるようで
そこの所、レナとディアスの似たような共通点だった


レナも実は、服に関して、好みがとてもうるさいのであった
ディアスも似たようなものであるとわかってしまった


さらに読み続けると


レナ「わたしにもお洋服を買ってくれたみたいなんだけど
   お姉ちゃんったら、とても意地悪な事に
   わたしの苦手なスカートがあるツーピースを買ったと言うの・・・
   わたし、絶対にそれ着ないからね!と言ったら
   お姉ちゃん、落ち込んでた・・・だって」

レナ「ラナって、本当にスカートが苦手なんだね・・・
   でも、ディアスさんの行為を無駄にするなんて・・・」


レナは何か複雑な気持ちでありながらも
呼んでいた日記を閉じて、ベッドに入って寝る事にした



翌日、ディアスとレナは
アリューゼの家を後にし、ラヴェストへ戻る事にした


EPISODE 3 へ続く

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