■EPISODE 1 〜レナとディアス〜■

サフェイス事件(RENOVATION -Destiny SUMMER- で起きた出来事の事)の幕が閉じて
早くも1ヶ月が過ぎようとしていた・・・

レナ・グレイシアは、王女の座よりも
双子のお姉さんである「ラナ・G・ハードヒート」と一緒に暮らす事を選択したと言う
ラナと見比べても、見分けが付かない位にそっくりな少女である

そんなレナ・グレイシアによる物語が今始まろうとしていた……




ある朝、ラナと一緒のお部屋で、仲良く眠っているラナとレナ
それはレナがラナと一緒に暮らしてから当たり前の光景となっていた


すやすやと眠っていたレナを優しく起こすラナ


ラナ「レナちゃん、起きて もう朝だよ〜」
レナ「う〜ん・・・」


ラナは寝起きが悪くないが、レナは対照的に悪かった・・・


レナ「もうちょっと寝かせてよ〜・・・」
ラナ「だめだよ、ちゃんと起きないと!」
レナ「う〜ん・・・」


これも、よくある光景の1つでもある
ラナは仕方なく、なかなか起きない妹のレナを無理矢理起こす


ラナ「せーのッ!」
レナ「!!!」


ラナは、レナの布団を一気に取った


レナ「あーん、酷いよ、ラナ!」
ラナ「だって、こうしないとレナちゃん、起きないじゃん!」
レナ「・・・」
ラナ「さあさあ、朝食ができてるから、早く来てね」


と、ラナがそういって部屋から出て行った
レナは眠そうに、朝食が置いてある部屋へと向かった

そこの部屋には、ラナの愛犬のシェパード
そしてラナの大好きなお姉さんのディアス・ハードヒートもいた


ディアス・ハードヒートは
ラナと1歳違いであり、身長はラナと殆ど同じであり
ラナの髪型はツインテールに対して、ディアスはショートヘアーにカチューシャを付けた
とても可愛らしい16歳の少女であるが、一人称は「俺」と言う為
そのギャップの差は、何なんだろう?とレナは何度かそう思っていた

喋り方もほぼ男性のような喋り方で、「怖い人だなぁ」と
出会った最初に、そういう恐怖心も少なからずあったと言う



いつも通りに3人揃っての朝食を取るレナとラナとディアス
先に食べ終わった、ラナの愛犬のシェパードは自分でお方付けをしてすぐにいなくなってしまった

ラナ「んじゃ、わたしはこれからお勉強とブレイダーの修行があるから、お先に失礼するね!」
と言って、ラナもいなくなってしまい、レナとディアスだけになった

ディアス「そういえば、ラナと一緒に暮らしてもう一ヶ月が経つんだな」
レナ「は、はい・・・」
ディアス「そうそう、今日も養女申請しにルビー地方へ行く訳だが、レナも一緒に来てもらうぞ」
レナ「えっ?」
ディアス「あの時言ったよな、何度か付いてきてもらう事があるぞ、とな」



そう、レナはハードヒート家の四女の申請中でもあった

事実上、ラナとレナは現在、戸籍上は赤の他人と言う壁と言うのがある
レナの現在の苗字は「グレイシア」に対し、ラナは「ハードヒート」と言う苗字であり
第三者から名前の苗字を見ても、姉妹関係ではないのである

一度、ラナはその事でふて腐れて寝込んだ事があったが
レナはそれを解決する為に、ディアスに頼んで
ハードヒート家の四女としての養女申請を受けると言う事になっていたのである

ディアス曰く、申請が完了するまで3ヶ月は掛かると言う事であり
現在はその途中である


レナはディアスと共にルビー地方へと出かける事となった
愛犬のシェパードに留守番を任せ、レナとディアスはルビー地方へと向かった


最初二人は会話もなく、黙りながらも歩くだけの光景であった
レナはディアスの事が怖いというイメージを未だに持ち続けている
逆にディアスは、レナに早く受け入れて欲しいなぁと思っていた


ディアスは、歩きながらレナに話しかけた

ディアス「これから申請しに行く訳だが・・・」
レナ「はい・・・」


やはり、レナはディアスの事を怖がっていた
それは無理もない、レナには義理の姉であったプロミネンス・レイと言う人物にて
レナの心を深く傷つけられ、一度は姉の事を完全否定をしていた程の酷い状況に陥っていたが
ラナによって、優しく修復されたばかりである

ディアスは、ラナからその話を聞いているので、全く知らないという訳ではなかった


ディアス「やっぱ俺の事、怖いよな・・・?」
レナ「いや・・・そんな訳では・・・」
ディアス「いやいいんだ、気にしないでくれ」
レナ「・・・」

ディアス「昔、俺はラナと仲が良かった訳じゃないんだよな」
レナ「えっ・・・!?」


突然そういってきたディアスの言葉に
動揺を隠せないレナだった



ディアス「まあ、なんていうか、俺とラナは、エメラルド地方で暮らしてた訳ではなく、トパーズ島で暮らしていたんだ」
レナ「トパーズ島って、あの小さい島の事ですか?」
ディアス「ああ、そうだ」

ディアス「トパーズ島にて、俺がまだ1歳だった頃、親父が赤ん坊だったラナを連れて帰ってきたんだ」
レナ「は、はぁ・・・」
ディアス「まあ、その頃の俺は、物心がまだついてなかったからなぁ・・・」

ディアス「ラナに何をしたのかどうかは覚えてないな」
レナ「・・・」

ディアス「俺は10歳になった頃、ブレイダーの修行の為に一度トパーズ島から離れたんだ」
レナ「はい」

ディアス「ブレイダーの修行を積むに積んで1年が過ぎて14歳になった頃に、トパーズ島へ帰ったかな」
レナ「は、はい」
ディアス「ラナと4年ぶりの再会だったが、ラナはトパーズ島内で、数え切れない位に悪戯をしていたらしくてな」
レナ「えええー!?」
ディアス「俺に苦情を沢山言われちまって、偉い目にあったんだよ」
レナ「・・・」
ディアス「それが原因となって、ラナとは一時期犬猿の仲となったぜ」


レナは、いつのまにかディアスの会話に夢中になっていた
ディアスの話はまだまだ続く


ディアス「ラナが悪戯をする理由は、自分がハードヒート家の本当の娘じゃないからと言う事を知ってしまって、
      それが原因で、やり始めてしまったらしいんだ」
レナ「はぁ・・・」
ディアス「それは俺にも責任があるよな、と思ってね、ラナの壊れてしまった心の修復をしてあげたいと誓ったんだ」
レナ「・・・!」


レナは、その「壊れてしまった心の修復」と聞いて、ある事を思い出した
そう、レナもラナに優しく修復してくれたという事であった


ディアス「まあ、最初はそう簡単にうまく修復なんてできなくて
      修復する所が、逆に酷くなってしまってね
      当初はラナ、悪戯に嫌気をさして自殺しようとした事もあって大変だったよ」
レナ「あ、それ、サファイア諸島の知り合いに聞きました・・・」


レナは、サファイア諸島にいるアルミティ・アイスーンと言う少女から
多少ながらラナの事を聞いていたのであった


ディアス「そうか・・・」
レナ「ディアスさん、その時ラナに修復させてくれ、と言ったそうですね・・・?」
ディアス「あ、ああ・・・」
レナ「その後、どうなったのでしょうか?」
ディアス「想像通りだよ・・・」
レナ「・・・」


レナは、悪い事を言ってしまったかなとふと思った


レナ「ごめんなさい、変な事言ってしまって・・・」
ディアス「気にしないでくれ」
レナ「でも、ラナとの関係を修復した訳なんですよね?」
ディアス「ああ、そうだ」
レナ「どういう経由で修復したのでしょうか?」


・・・と、レナは恐れ入りながらもディアスに質問をした
すると、ディアスは・・・


ディアス「ラナの愛犬のシェパードと言う雌犬がいるのを知っているよな?」
レナ「あ、はい、あの黒いワンちゃんですよね?」
ディアス「ああ、そのシェパードのお陰でね、なんとか亀裂を修復できたんだよな」
レナ「そうだったんですか・・・?」
ディアス「そうだよ」


意外な事に、喋る雌犬のシェパードによって
ラナとディアスの仲の関係を修復してくれたという事だった


ディアス「それから、ラナと仲が良くなってな、ラナもブレイダーになりたいといってきたんだよ」
レナ「ああ、あの大きな剣を扱うバトルスタイル(戦闘態勢)ですか?」
ディアス「ああ」

ディアス「俺はラナのブレイダーの師匠となり、ラナに色々と技を教え続けていたな」、ラナが15歳になるまで」
レナ「えっと、約2年間ですか?」
ディアス「計算すると、そうなるな」
レナ「はぁ・・・」
ディアス「その経由のお陰で、ますますラナに好かれるようになったな」


ディアス「ああ、後それと」
レナ「はい?」
ディアス「ブレイダーの事だけに限らず、ラナに色々と優しく接していたな」
レナ「と言いますと?」
ディアス「ラナがいつも付けているあの緑色のリボンをとある奴らに取られた際に、俺が即効取り返したり
      ラナが、俺の為に料理をしたが、失敗して泣いていたのを見て、俺は気にせず食べた事や
      ラナが、転んだ際に手当てをした事に
      ラナが、ある研究所の電源を何らかの原因で切ってしまって、知り合いの博士に酷く怒られてたのを
      俺が仲裁に入ったり、慰めたりと、色々とね」
レナ「・・・」


レナは思った
ディアスさんって、結構女性的な人で優しい所がいっぱいあって
全然怖い人じゃない!とますますそう思ってきた


ディアス「・・・と、なんか俺の昔話を聞かせてしまってすまないな」
レナ「いえ、気にしないで下さい!」


気が付くと、レナとディアスは、既にルビー地方へと踏み込んでいた
相当長い時間話し込んでいたようであった

ディアス「いつの間にか、ルビー地方へ来たんだな、俺達」
レナ「そのようですね」
ディアス「ここに、俺の親父アリューゼと言う人物が住んでいるんだ」
レナ「そうなのですか?」
ディアス「ああ、申請手続きする際には、親父にも色々と書類を書いてもらったりしないといけないからな」
レナ「お手数お掛けしてすみません、ディアスさん」
ディアス「あ、そういう意味で言ったんじゃないんだ・・・ごめん」
レナ「いえ、気にしないで下さい」


ディアス「そうそう、俺の親父がさ」
レナ「はい?」
ディアス「是非レナを見てみたいと言ってたんだ」
レナ「・・・!」
ディアス「だからね、そんな怖がる事はないぜ」
レナ「は、はい・・・」


いつの間にかレナは、ディアスへの恐怖心と言うものは
徐々になくなりつつあった


レナとディアスは、ディアスの父、そしてラナの義父でもある「アリューゼ」が住む村へと
足を運んでいったのであった


EPSODE 2 へ続く

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